小動物アーカイブZ

A rolling stone gathers no moss

Shoplifters

今年のパルムドール受賞作品。

カナダではこの週末に封切り。あまりにも良かったので2回続けて観てきた。

是枝裕和監督作品はこれまでに『誰も知らない』と『そして父になる』を観たことがあって、どちらもいまいち好きになれなかったけど、これは気に入った。脚本もさることながら、安藤サクラの演技が圧巻。樹木希林は言わずもがな素晴らしい。リリーフランキーも自然な演技でいい味出してた。

事前にYouTube等で情報収集して見どころを把握してから観たのがよかった。この作品には直接関係ないが、『火垂るの墓』評で岡田斗司夫氏が「エンタメ作品(例:天空の城ラピュタ)は登場人物がどういうキャラか視聴者がわかるように台詞が組んである。一方、『火垂るの墓』のような文芸作品では登場人物の言動の動機、及び作品の主題等を視聴者ひとりひとりが考えて自分なりの答えを出すように作ってある。」と主張していた。程度の差こそあれ、この『万引き家族』もそのような作品だと思う。設定上、細かいところまで作りこんであるけど、作品中で明かされるのはそのうちのごく一部。観る側が細部にまで注意を払い、想像しないと作者の意図は見えてこない。

とは言え、2回観てもいまいち腑に落ちないところは幾つかあった。あの6人、最後に加わった女の子以外が知り合った経緯、あの風俗嬢のバイトしてる少女だってちょっと無理あるだろ、とか。そこはエンタメと割り切った方がいいんでしょね。

是枝監督がラジオで『クレイマー、クレイマー』をご自身の座右の一本(?)として選んでいたところに親近感を覚えた。