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小動物アーカイブZ

A rolling stone gathers no moss

Into the wild

無駄に長い作品。要するに金持ちで学業も優秀な男が何でも与える親に嫌気がさして家出する話。ただ、スケールがちょっとでかくてウエストバージニアからアラスカまで、1年以上も失踪してしまう。しかも最終的には餓死してしまうという、事実を元にした映画。

最後、死んでしまうというのはいただけない。目的なく自分探しの旅をして、何かを悟ったか知らないけど、死んだら元も子もないよね。映画の中では誤って毒素のある植物を食べて死ぬことになってて、主人公は悔しそうな表情を見せるわけですが、そもそも生き延びる意思があったのか疑わしい。実際には彼が死んだ2週間後に鹿狩りをしている人に発見されたらしい。奥地に入りすぎて夏の間に山の氷が解けて川の流れが激しくなり、帰れなくなったということになってるけど、生還するのは本当に不可能だったのか?意外と孤独な野営生活を楽しんでいたのかもね。

別にハッピーエンドじゃないことを批判してるのではなく、主人公が旅を始める前と映画の最後で大して成長していないのが駄目なところだし、薄っぺらいという証拠。この話で実は一番重要なのは親との関係なんだよね。だから、それをどううまく描くかが鍵になってくるわけ。家出してそのまま死ぬってのは逃げ以外の何でもないし、そこから他人が学べること、考えさせられることも何もない。

深い意味なく世界貿易センターのツインタワーを綱渡りする『マン・オン・ワイヤー』や岩場に手を挟まれて5日間耐え抜き自力で腕を切り落として生き延びる『127時間』の方がそれ以外の人生がダメダメだったとしてもそのエピソード自体には価値があると思う。

或いは手塚治虫の『ブラックジャック』に出てくるひとつのエピソードを思い出した。医大の受験に失敗した少年は家を飛び出して九州から北海道まで移動、橋の上を浮かない顔でうろついているところを工事現場ではたらくおっさんに呼び止められる。おっさんは大衆食堂でご飯を奢ってくれ、話をして別れる。その直後におっさんは事故に巻き込まれ意識不明の重体になり、偶然通りかかったブラックジャックが助ける。少年は医者になりたいのでお願いして手術に立ち合わせてもらう。人間の生死を目の当たりにした少年は決意を新たに実家に戻る、という話。

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