小動物アーカイブZ

A rolling stone gathers no moss

菊次郎の夏

YouTubeで偶然見つけたので鑑賞。

話はよくある、少年が怪しいおじさんに連れられてと数日間、大人の世界を覗き見ることによって色んな体験を通して成長する、みたいな古いアメリカ映画「華麗なる週末」なんかにも似た、北野武監督も恐らくそういうものを下敷きにしてるんじゃないかな。(具体的には違う映画だろうけど)

しかし、描かれる大人の世界が競輪やストリップ等、ありきたり且つ安っぽいというか、誰でも思いつきそうなもので少しがっかりした。また、出てくる風景に説得力がない。夏っぽい雰囲気があんまり出てないのも残念。

菊次郎が縁日で悪事を働き、裏で取り仕切ってるヤクザにボコボコにされるのは良かった。ああいうのって本当に暴力団が関わってたりするもんで、だから胡散臭い商売してるやつも多かったりするんだよな。まあ負わされた怪我が大したことなさそうだったのはご愛嬌。

探していた少年のお母さんは新しい男を作り、幸せに暮らしていた。少年は捨てられたも同然...それはわかったけど、深くつっこんで考えるとお母さんは新しい旦那に事故で亡くなったという前の夫との間に息子がいることを隠してくっついたの?嘘をつき通せると思ってるの?一応、子供に手紙書いたりしてるんでしょ?というのが設定上の穴。

菊次郎の人物は「自虐の詩」を思わせる、ゴロツキだけど背景に不幸な過去を背負っている、というもの。それが似た境遇の少年との触れ合いを通して素直な気持ちを取り戻す。それ自体は悪くなかった。ただ、言うほど感情移入できないんだよなぁ。

出てくるギャグも30年ぐらい前に流行ったような古臭い失笑ものばかりだった。

久石譲の音楽がいいだけにもったいない。

菊次郎の夏 [DVD]