小動物アーカイブZ

A rolling stone gathers no moss

Whiplash

途中までは面白そうなのだが後半から雲行きが怪しくなってくる残念映画。

ドラムの先生は別に教育哲学があるわけじゃなくてただ単に性格の捻じ曲がった若者を苛めたいだけの悪役なんですね。もう少し人物を深く描いた方がよかったんじゃないでしょうか。ギャグとしても最後まで引っ張るにはちょっと厳しい。

ストーリーも薄っぺらい。結局、悪役の先生に嫌がらせを受けながらそれに耐え抜いてドラムの才能を開花させるっていうだけのくだらない三文小説みたいな粗筋。

見てて思ったのは先生役のテレンスは「のだめカンタービレ」に出てくるハリセン持った先生を更に極端にしたような古いタイプのスパルタ教師。今時通用するわけない。恐らく、作り手はそれをわかっていながらあえてそういう話にしているんだろうけど。だったら、いっそのことミルヒーみたいに一見ただのエロ親父だけど実は音楽の才能は本物、みたいなキャラクターの方が魅力的なのにな(かつ、リアリティもあると個人的には思う)。

さらに主人公のアンドリューがドラムの練習に打ち込むために彼女と別れることを告げる場面があって、かなり荒唐無稽に描かれているのだが、これは違うんじゃないかと思った。もちろん女の子からすれば自分勝手な男、である。しかし「のだめ」の序盤で千秋が元カノに会って彼女の存在が邪魔であることに気付くシーンがある。何かに打ち込んでいるときに中途半端な異性と付き合っていても時間の無駄にしかならない、という気持ちもわかるしそれだって真実なのだ。だからアンドリューが後日、女々しく別れた彼女と寄りを戻そうと電話をかける場面には虫唾が走った。そんなんだからお前はいつまでたってもうだつが上がらないんだよ!

ラストも強引すぎてついていけなかった。本当にいい映画ってなかなかないですね。もっとシンプルでいいと思うんだけどなぁ...

追記:ジャズ関係者からは実際と全然違うと酷評されてるらしい。

 

Whiplash